日本は、国の借金が1,342兆円でGDPの2.3倍と言うひどい状態で、政府はなんとかして税収を上げるために必死になっているみたいですが、実は固定資産や対外資産を加味すると大幅な黒字であり、日本は世界最大級の資産保有国であるという話を聞きましたが、これは本当ですか?
日本が世界最大の「純資産」を保有しているという話は、経済統計上の事実に基づいています。ただし、それが「だから増税は不要」という単純な結論に直結するかどうかについては、資産の中身や流動性を詳しく見る必要があります。
複雑な日本の財政状況を、資産と負債の両面から整理して解説します。
1. 世界最大の対外純資産国としての顔
まず、対外資産についてはご指摘の通りです。日本は30年以上にわたり、世界最大の対外純資産(海外に持つ資産から負債を引いたもの)を保有しています。
対外資産:日本の政府や企業、個人が海外に保有している工場、不動産、株式、外貨準備など。
対外純資産:2024年末時点の推計でも400兆円を超えており、これは世界トップクラスです。
この「対外資産」があるおかげで、日本は海外から利子や配当(所得収支)として毎年数十兆円規模の稼ぎを得ています。これが日本の経常収支を支える大きな柱となっています。
2. 政府のバランスシート:資産と負債
次に、国内の「国の借金(債務)」に目を向けます。メディアでよく報じられる1,300兆円超という数字は「総債務(グロス)」です。しかし、政府のバランスシートの反対側には「資産」も存在します。
政府保有の金融資産:年金積立金(GPIF)、外貨準備、政府系金融機関への出資金など、現金化しやすい資産が数百万億円規模で存在します。
固定資産:道路、橋、公有地、庁舎など。これらも数百万億円規模の評価額がありますが、売却して借金の返済に充てるのは現実的ではありません。
これらを差し引いた「純債務(ネット)」で見ると、対GDP比の借金比率は2.5倍から1.5倍程度まで下がります。それでも主要国の中では高い水準ですが、1,300兆円という数字の印象とは少し景色が変わります。
3. 「資産があるなら大丈夫」と言い切れない理由
資産が豊富にあるのに、なぜ政府は税収増を急いでいるのでしょうか。そこには主に3つの現実的な懸念があります。
資産の流動性(換金性)の問題 前述の通り、道路や橋は売れません。また、年金積立金は将来の受給者のためのものであり、借金返済に流用することは制度上困難です。
利払い費の増大リスク 日本の借金の多くは国内(銀行や日銀)が円建てで引き受けているため、他国のようなデフォルト(債務不履行)のリスクは極めて低いです。しかし、金利が上昇すれば、1,300兆円という巨大な元本に対する利払い費が膨れ上がり、国家予算を圧迫します。
社会保障費の構造的増加 資産は「ストック(貯え)」ですが、毎年の予算は「フロー(やりくり)」です。少子高齢化により、医療や介護、年金といった社会保障費が毎年1兆円規模のペースで増え続けており、資産を切り崩すだけでは追いつかないという判断が背景にあります。
結論:本当か嘘か
ご質問の「日本は世界最大級の資産保有国である」という話は、データに裏打ちされた事実です。特に「対外純資産」の多さは日本の経済的強靭さの象徴と言えます。
しかし、その資産の多くは「すぐに借金返済に回せる貯金」ではなく、将来の備えや公共インフラであるため、政府は「フローの赤字(毎年の収支)」を埋めるために税収を確保しようとしている、というのが現在の構図です。
日本が「金持ち」であることは間違いありませんが、その金持ちが「将来の生活費の増大に怯えて、現在の支出を切り詰め、収入を増やそうとしている」状態に近いと言えるかもしれません。
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