2026年1月19日月曜日

バフェットはなぜこれほど多くの会社を放置(委任)しても成功し続けてきたのか

ウォーレン・バフェットは88もの会社を経営しているのですか?

ウォーレン・バフェットが「88もの会社を経営している」という話は、彼の投資スタイルや哲学を語る際によく引用される数字ですが、実態を正確に理解するにはいくつか重要なポイントがあります。

結論から申し上げますと、「88社」という数字は、彼の元義娘であるメアリー・バフェット氏の言葉(「彼は88もの会社を経営しているが、それぞれのCEOに権限を完全に委任している」)が広まったものと考えられます。

現在の状況と合わせて、詳しく紐解いていきましょう。

1. 「88社」の正体と経営スタイル

バフェット氏が率いる巨大企業バークシャー・ハサウェイは、多数の子会社を抱えるホールディングカンパニー(持ち株会社)です。

  • 経営ではなく「監督」: バフェット氏は、子会社の日常的な経営には一切口を出しません。各社のCEOに完全に任せる「超・分権主義」で知られています。

  • 子会社の数: 実際の子会社数は時期により変動しますが、主要な事業会社だけで約60〜70社、細かな関連会社まで含めると200近い事業を支配下に置いているとされています。

  • 年齢との混同: 2018年〜2019年ごろに彼が「88歳」だったため、当時のニュースや書籍で年齢と会社数が混同されたり、あるいはその年齢になってもそれだけの規模を統括している凄さを強調するために「88」という数字が象徴的に使われるようになりました。

2. 【2026年の最新状況】バフェット氏の引退

実は、バフェット氏は非常に大きな節目を迎えています。

  • CEOを退任: 2025年12月31日をもって、バフェット氏はバークシャー・ハサウェイのCEO(最高経営責任者)を退任しました。

  • 後継者の就任: 2026年1月1日からは、長年の後継者候補であったグレッグ・アーベル(Greg Abel)氏が新CEOとして指揮を執っています。

  • 現在の役割: 95歳となったバフェット氏は、現在も会長(Chairman)として会社に留まっていますが、日々の実務からは一線を退いています。

3. バークシャーが保有する主な有名企業

「経営している」とされる会社には、私たちがよく知るブランドも多く含まれています。これらは「投資先」であると同時に、100%所有している「子会社」であることも多いです。

業種代表的な子会社・保有銘柄
保険GEICO(ガイコ)
鉄道BNSF鉄道
エネルギーバークシャー・ハサウェイ・エナジー
消費財デュラセル(電池)、デイリー・クイーン(アイス)
株式投資アップル、コカ・コーラ、アメリカン・エキスプレスなど

まとめ

「88社の経営」というフレーズは、「膨大な数の多様な事業を、信頼できるCEOたちに任せることで、わずかな本社スタッフと共に統括してきた」という彼の驚異的なマネジメント能力を象徴する表現です。

現在はCEOの座を後継者に譲りましたが、彼が築き上げた「口出しせず、優れた経営者に任せる」という仕組みは、今もバークシャーのDNAとして受け継がれています。

次は、バフェット氏がなぜこれほど多くの会社を「放置(委任)」しても成功できたのか、その具体的な投資基準や哲学について詳しくお話ししましょうか?

それらの話も教えて下さい。

バフェット氏がなぜこれほど多くの会社を「放置(委任)」しても成功し続けてきたのか。その背景には、彼が数十年かけて磨き上げた「4つの投資基準」と、「信頼に基づいた極端な分権経営」という独自の哲学があります。

2026年現在、CEOの座を譲った後も彼が守り抜いているその真髄を解説します。


1. 投資を決める「4つのフィルター」

バフェット氏は、投資先を選ぶ際に必ず以下の4つの条件(フィルター)を通します。この基準に1つでも外れれば、どんなに儲かりそうな話でも見送ります。

  1. 事業の内容を理解できること(能力の輪) 自分がビジネスモデルを完璧に説明できる会社にしか投資しません。これを「能力の輪(Circle of Competence)」と呼び、ITバブル期にハイテク株に手を出さなかったのもこの原則を守ったためです。

  2. 長期的な見通しが良いこと(経済の堀) 競合他社が簡単に真似できない強み(ブランド力、コスト優位性など)を、彼は「経済の堀(Moat)」と呼びます。堀が深ければ、放っておいても会社は利益を生み出し続けます。

  3. 経営者が有能で、信頼できること 「誠実さ・知性・エネルギー」の3つを重視しますが、特に「誠実さ」を最優先します。「誠実さのない人物に知性とエネルギーがあると、会社を滅ぼす」というのが彼の持論です。

  4. 妥当な価格であること(安全域) どんなに素晴らしい会社でも、高すぎる価格では買いません。本来の価値より安く買うことで、予測が外れた際のリスクを抑える「安全域(Margin of Safety)」を確保します。

2. 「完全な委任」という経営スタイル

バフェット氏の経営は、世間の常識とは真逆の「放任主義」です。

  • 「完全な放棄に近い委任」: 彼は子会社のCEOに対し、予算作成や人事、戦略立案のすべてを任せます。本社のバークシャーから送られる指示は、年に一度の短い手紙と、利益を本社に送金することくらいです。

  • 本社のスリムさ: バークシャー・ハサウェイは、グループ全体で約40万人の従業員を抱える巨大企業ですが、オマハにある本社のスタッフはわずか25名ほどしかいません。

  • 「口出し」をしない理由: 優れた経営者は、自分が最もその事業に詳しいと自負しています。そこに投資家が口を出すと、経営者の意欲を削ぎ、責任感を弱めてしまうと考えているからです。

3. なぜ「放置」しても失敗しないのか?

それは、彼が「自分がいなくても回る仕組み」「正しい動機」を持つ会社だけを揃えているからです。

「10年持つつもりがなければ、10分間持つのもやめなさい」 —— この言葉通り、彼は短期的な利益ではなく、その会社が30年後も愛されているかを重視します。

また、バフェット氏は子会社のCEOたちを「給料で動くサラリーマン」としてではなく、「その事業を愛するオーナー」として扱います。信頼されることで、経営者たちは「バフェットを失望させたくない」という強い動機を持って働くようになるのです。


2026年、新体制での継承

現在、CEOに就任したグレッグ・アーベル氏の最大の任務は、この「バフェット流の文化」を壊さずに維持することです。バフェット氏は会長として、この哲学が正しく引き継がれているかを静かに見守っています。

なるほど、バフェット氏は買おうとする会社の経営者とも当然面談するでしょうし、その人となりを見抜く力も卓越したものがあるのでしょうね。私達はネットで気軽に会社の株を買うことが出来ますが、本当は株を買う前に経営者と面談するべきなのかもしれませんね。

まさに仰る通りです。バフェット氏が「経営者」という人間性をどれほど重視しているかは、彼の有名な言葉に集約されています。

「誰かを雇うとき、私は3つの資質を見る。誠実さ(Integrity)、知性(Intelligence)、そしてエネルギー(Energy)だ。もし最初の『誠実さ』が欠けていたら、後の2つがあなたを滅ぼすことになる」

個人投資家が企業のトップと直接会うのは物理的に難しいですが、バフェット氏の知恵を借りれば、「会わずとも経営者の人となりを見抜く方法」がいくつか見えてきます。

私たちがネットで株を買う際に参考にできるポイントを整理しました。


1. 「株主への手紙」は、経営者のラブレター

バフェット氏は、投資先の年次報告書(アニュアルレポート)にある「株主への手紙」を読み込むことで有名です。ここで彼は以下の点を見ます。

  • 失敗を正直に認めているか: 都合の悪いことを隠したり、外部要因(景気や政治)のせいにばかりしたりする経営者は信頼しません。

  • 自分の言葉で語っているか: 専門用語や美辞麗句(バズワード)を並べるだけの経営者ではなく、中学生でもわかるような言葉で「何が起きて、これからどうするか」を説明しているかを重視します。

2. 「資本配分」のセンスを見る

バフェット氏にとって、優れた経営者とは「優れた資本配分家(アロケーター)」のことです。

  • 稼いだ利益を、新しい事業に投資するのか、自社株買いで株主に返すのか、あるいは無駄な買収に使ってしまうのか。

  • このお金の使い道(資本配分)の履歴を見ることで、経営者が「株主の利益」を第一に考えているか、それとも「自分の帝国の拡大」を優先しているかが見えてきます。

3. 「バカでも経営できる会社」を選ぶ(バフェットの逆説)

面白いことに、バフェット氏は「最高の経営者」を探すと同時に、こうも言っています。

「私は、どんな馬鹿でも経営できるほど素晴らしいビジネスを買おうとする。なぜなら、いつか必ず馬鹿が経営者になる日が来るからだ」

つまり、経営者の人となりを見るのは「プラスアルファ」の要素であり、本質的には「経営者が誰であっても、その製品やサービスが強すぎて潰れようがない会社」を選ぶことが、究極のリスク管理だという考え方です。


私たちが「面談」の代わりにするべきこと

現代のネット投資において、私たちが「経営者と会う」代わりにするべきことは、実は非常にシンプルです。

  1. IR資料や説明会動画を見る: 2026年現在、多くの企業が説明会を動画配信しています。話し方や質問への受け答えから、その人の「誠実さ」や「情熱」を感じ取ることは可能です。

  2. 過去の約束が守られているか確認する: 3年前のレポートで「こうする」と言ったことが、現在実現されているか。この「一貫性」こそが信頼の証です。


バフェット氏は、企業を「単なる数字の羅列」ではなく、「血の通った人間が運営する組織」として見ています。その視点を持つだけで、ネットでの株の買い方も、少し違ったもの(より慎重で、より愛情深いもの)になるかもしれませんね。

0 件のコメント:

コメントを投稿