「現金・債券・ゴールド・株式」と言う資産の中で、長期のインフレに打ち勝って株式だけが桁違いに上昇するのはなぜですか?
ジェレミー・シーゲル教授の有名なグラフですね。200年以上のスパンで見ると、株式の圧倒的なパフォーマンスはもはや「誤差」とは呼べないレベルで他の資産を突き放しています。
なぜ、現金や債券、ゴールドではなく「株式だけ」がこれほどまでに桁違いの上昇を見せるのか。その理由は、大きく分けて3つの「仕組みの差」に集約されます。
1. 「生産性」というエンジンの有無
最大の理由は、株式が「付加価値を生み出す生き物」の所有権だからです。
株式(生産的資産): 企業は、人間の知恵、技術、労働力を組み合わせて、昨日よりも効率的に、あるいは昨日まで存在しなかった新しい価値(商品やサービス)を生み出します。利益が出ればそれを再投資し、さらに大きな利益を狙います。この「自己増殖」と「イノベーション」が株価を押し上げる原動力です。
ゴールド・現金(非生産的資産): ゴールドは1オンスあれば100年後も1オンスのままです。何も生み出しません。ただ「そこにある」だけです。現金は政府の発行物であり、経済活動を円滑にするための「道具」に過ぎず、富を増やすようには設計されていません。
2. インフレに対する「価格転嫁力」
インフレとは、通貨の価値が下がり、モノの値段が上がることです。
企業はインフレが起きれば、自社の製品やサービスの価格を上げることができます。つまり、インフレをコストとして顧客に転嫁し、売上や利益を名目上維持(あるいは拡大)できるのです。
一方で債券や現金は「将来受け取る金額」が固定されています。物価が上がっても受け取れる額が変わらないため、インフレが起きると実質的な価値は目減りしてしまいます。
3. 資本主義の「リスク・プレミアム」
投資の基本原理として、「高いリスク(不確実性)を引き受ける者には、それ相応の報酬が与えられる」というルールがあります。
企業が倒産すれば株主の権利はゼロになります。この高い不確実性を引き受ける見返りとして、投資家は債券(利息)よりも高い期待リターンを要求します。
この「リスクの差」が、長期間積み重なることで(複利の力)、グラフにあるような天文学的な差となって現れます。
まとめ:なぜ「桁違い」になるのか
このグラフが対数グラフ(メモリが10倍ずつ増える)であることに注目してください。株式の実質年率約6.8%という数字は、一見小さく見えますが、複利計算では約10.5年で資産が2倍になるペースです。
結論として: 株式は「人間の欲望と知恵が作り出す成長」をダイレクトに吸収する唯一の手段だからです。他の資産は「価値を保存する」ことが精一杯ですが、株式だけは「価値を創造し続ける」側に立っているのです。
長期投資において、短期的な暴落(グラフ上の小さなギザギザ)がいかに些細なことか、この200年の直線が雄弁に物語っていますね。
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