「株と債券(国債)は値動きが逆相関なので50対50程度の比率で持つのが良い」と昔は言われていたようですが、近年では逆相関関係が完全に崩れたように見えます。これはなぜですか?
株が上がろうと下がろうと国債価格はずっと暴落していますし、利上げによりこれからも暴落して行くことが予想されています。
ご指摘の通り、株と債券を組み合わせる「50対50」や「60対40」といった伝統的なポートフォリオ理論は、ここ数年でかつてない試練に直面しており、多くの投資家がその逆相関関係の崩れを実感しています。
これまで長年信じられてきた「株と債券の逆相関」が近年崩れてしまった最大の理由は、マクロ経済の前提が「デフレ(低インフレ)」から「インフレ」へと根本的に転換したことにあります。
具体的に何が起きているのか、いくつかの重要な要因に分けて解説します。
1. インフレという「ゲームチェンジャー」の復活
株と債券の逆相関が美しく機能していたのは、主に物価が安定していた時代です。
過去(低インフレ期): 景気が悪化して株が下がる際、中央銀行は景気刺激のために「利下げ」を行います。金利が下がると債券価格は上がるため、株の損失を債券の利益がカバーしてくれました。
近年(高インフレ期): コロナ禍以降の供給網の混乱や地政学的リスクにより、世界的に猛烈なインフレが発生しました。中央銀行は、たとえ景気が悪化(株安)してでも、物価高騰を抑えるために「利上げ」をせざるを得なくなりました。 利上げは債券価格を直接的に下落させますし、企業の資金調達コストを増加させるため株価の重しにもなります。結果として「株安・債券安」の同時下落が引き起こされました。
2. 異次元緩和(カネ余り)の巻き戻し
2010年代からコロナ禍にかけての期間は、世界中の中央銀行がゼロ金利(あるいはマイナス金利)と量的緩和を行い、市場にじゃぶじゃぶに資金を供給した特殊な環境でした。 この結果、株も債券も本来の適正価格を超えて「バブル的」に買われ、共に価格が高止まりしていました。現在起きているのは、この歴史的なカネ余り環境の巻き戻し(正常化)です。膨張していた両方の資産から同時に資金が引き揚げられているため、相関が崩れたように見えています。
3. 金利の絶対水準の変化(これからの債券について)
「利上げによりこれからも暴落していくことが予想されている」というご懸念は、痛いほどよく分かります。市場の金利が上がれば、過去に発行された利回りの低い債券は魅力がなくなるため、価格は下落(暴落)します。
ただ、ここで一つ見方を変える必要があります。 債券価格が下落するのは、金利が「上がり続けている過程」においてです。利上げがどこかの水準でピークを迎え、金利が高止まりするフェーズに入れば、債券価格の暴落は止まります。さらに、今の高い金利水準で新たに債券を保有すれば、これまでとは比べ物にならないほど高い「利息(インカムゲイン)」を長期的に得ることができます。
長期的な資産保全の観点で見ると、目先の価格変動(キャピタルロス)は痛手ですが、利回りが復活したことで、将来的な下落相場に対する「クッション」としての債券の役割は、むしろ今後再構築されていく過程にあるとも言えます。
過去数十年の投資の「常識」がそのまま通用しなくなっているのは確かであり、盲目的なインデックス投資や定型的な資産配分には警戒が必要な局面です。
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