米国に比べて日本では配当株が人気ですが、これは日本株が30年もの間低迷したことと関係あるのではないかと私は思っています。
長期低迷が生んだ「値上がり期待の喪失」
バブル崩壊後、日経平均は1990年代から2020年代初頭まで長期にわたり停滞。成長株やグロース株への期待が薄れ、「株価上昇による利益」よりも「確実なインカムゲイン(配当)」を重視する傾向が強まった。
🧓 高齢化と安定志向の投資スタイル
日本は世界でも有数の高齢化社会。年金以外の安定収入源として配当金が注目される。高配当株は「生活費の補填」「再投資資金」として機能し、老後資産形成にも適しているとされる。
🏦 金利低迷と相対的な魅力
長らく続いたゼロ金利政策により、預金や債券の利回りが極端に低い。その結果、配当利回り3〜5%の株式が「実質的な利回り商品」として人気を集める
特に古くから日本で株をやっていた人たちは高配当株にかなり執着する傾向があるようです。高配当銘柄もたしかに良い部分があると思います。
ただ配当利回り3〜5%で長年あまり株価が変わらない銘柄群と、私が投資している長年20%前後の安定した株価成長率がある銘柄群では、リターンの面で優位性は明らかだと私は考えています。
また配当を再投資する場合でも20%の税金が引かれた後での再投資になりますので、成長株の長年ホールドより条件は悪くなります。
. 「失われた30年」の記憶と心理的防衛
バブル崩壊後の長期停滞で「株価は上がらないもの」という認識が定着。値上がり益への期待が薄れ、「配当だけでも得られれば良い」という心理的防衛が働く。
2. 投資教育の空白と「利回り信仰」
日本では長らく投資教育が不十分で、複利や成長率の概念が浸透していない。「配当利回り=お得」という単純な評価軸が根強く残る。
3. 年齢層と生活設計の違い
高齢層は「定期収入」を重視し、資産の成長よりも安定したキャッシュフローを好む。
もちろん、高配当株で素晴らしいリターンを得ている人もいますが、初心者の多くは高配当だから良い株だと思って買っているような傾向があります。
私は「プロが選ぶ高配当オススメ銘柄」などという特集記事を見ると、必ずリストアップされた銘柄をすべて調べ上げますが、それはもう酷い銘柄のオンパレードで、配当性向が200%を超えていたり株価が長年に渡り-80%も暴落中だったりする銘柄がほとんどで、これらの高配当銘柄の実態を知らないで飛びつくと、大きく損をする可能性が非常に高いです。
おそらくこれらの記事を書いている人は、投資のプロではないと思います。
長期株価下落と「見かけの高利回り」
株価が80%も暴落している銘柄は、配当額が変わらなくても利回りが高く見える。しかし、これは「過去の配当水準を維持できる保証がない」ことを意味し、罠利回りとも呼ばれる現象です。
FP厳選「長期保有で利益を狙いたい。まだまだ割安な銘柄」 と言う記事がありました。いつものように銘柄を調べたのですが、いつものように酷いものでした。
〇〇開発など上場からずっと下落中だし、配当性向194! 純利益メチャクチャ低い上に時々赤字 だし、PER 47 PBR 0.6 ROE 1.4 です。
だめ株の典型例ですが、これを筆者が買ったらしいですが理由が全く分からないです。 このような記事を載せる株式ニュースサイトも問題だと思います。
このような記事が乱立し、オススメ銘柄の殆どが一様に酷い銘柄のリストになっているのはなぜでしょうか?もしかしたら彼らは正しい知識を持っているのに視聴者誘導のため、わざとこのような記事を書いているのでしょうか?
なぜ“酷い銘柄”が推されるのか?構造的な理由
① メディアの構造:PV至上主義と“煽り記事”の量産
多くの金融系メディアは「PV(ページビュー)=収益」構造に依存。
「出遅れ株」「今からでも間に合う」「高配当」などの感情ワードはクリック率が高く、構造的な分析より優先されがち。読者の“期待”や“焦り”を刺激することで、PVを稼ぐ構造になっています。
ページビューが収益に繋がっているため、と言う理由が一番納得できますね。結局読者が興味を持ちそうな題名を書いてクリックさせれば報酬ゲット成功なので、記事を信用して実際に株を買って読者が大損害を被ろうとかまわないと言うスタンスなんだと思います。
FPやライターのスタンス:責任の分断
多くの執筆者は「情報提供者」であり、「投資助言者」ではないという立場を取ります。つまり「買うかどうかは読者の判断」「損をしても自己責任」という責任の切り離しが前提です。
自分だったら絶対このような記事を書かず、本当に安定して儲かる可能性の高い投資方法や銘柄を紹介すると思います。
長い目で見れば結局その方が固定ファンも増えますし、ページビューも安定して高成長するでしょうし、長年に渡るページビューの収益も得られると思います。
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日本の高配当株の配当を再投資することによって、S&P500のリターンを上回ることに挑戦している人がいます。私は限りなく不可能に近いと考えていますが、あなたはどう思いますか?
あなたの見解は非常に合理的です。日本の高配当株でS&P500を長期的に上回るのは、構造的に極めて困難です。
🧩なぜS&P500を上回るのが難しいのか?
1. S&P500の構造的優位性
成長企業の集中: S&P500は時価総額加重型で、NVIDIAやAppleなどの成長企業が指数を牽引。再投資効率: 米国ETFや投資信託(例:eMAXIS Slim S&P500)は配当をファンド内で自動再投資し、税効率が高い。過去20年の年平均リターン: 約7〜10%(インフレ調整後でも5〜7%)と世界トップクラス。
2. 日本株の構造的制約
成長性の低さ: 日本企業は成熟企業が多く、株価成長より配当重視の傾向。税制の壁: 配当再投資には約20%の課税がかかり、複利効果が削がれる。指数の構成: 日経平均やTOPIXは構成銘柄の入れ替えが少なく、イノベーションの反映が遅い。
🔍挑戦する人の戦略と限界
挑戦者の主張:「安定した配当を再投資すれば複利で資産が増える」「日本企業も増配傾向にあり、長期では報われる可能性がある」
現実的な限界:
税引き後利回り: 例えば配当利回り3.5%でも、税引き後は約2.8%。これを再投資しても、S&P500の成長株の年10%には届きにくい。銘柄選定の難しさ: 日本の高配当株は安定性はあるが、成長性が乏しい。選定ミスでリターンが大きく下がる。
🧠あなたの見解は「構造的な合理性」に基づいている
S&P500のリターンを超えるには税制・成長性・再投資効率の三重の壁を超える必要があり、これは「限りなく不可能に近い」という判断は極めて妥当です。
✨補足:唯一の可能性があるとすれば?
新NISAの非課税枠を最大限活用し、配当課税を回避
厳選された高配当成長株(例:KDDI、伊藤忠など)に集中投資
暴落時に積極的に買い増しして平均取得単価を下げる
ただし、これらは「構造的な優位性」ではなく「戦術的な工夫」に過ぎず、再現性は低いです。
やはり私の考えと同じですね。そのような不可能に近い挑戦を心身を削って一生懸命してるより、S&P500の投資信託を買ってただ長年ほったらかしていた方が、ずっと資産は増えると思います。
まさにその通りです。S&P500の「ほったらかし戦略」は最も再現性が高く、心身の消耗が少ない方法です。
🌱「ほったらかしS&P500投資」の構造的優位性
1. 時価総額加重の自動リバランス
成長企業が自然に比重を増し、衰退企業は比重が減る。投資家が何もせずとも「勝ち馬に乗り続ける」構造。
2. 米国企業の資本効率と株主還元
ROE(自己資本利益率)が高く、利益を再投資して成長。自社株買いによる株主還元が多く、税効率も良好。
3. 投資信託の仕組みが複利を最大化
配当はファンド内で自動再投資され、税引き前で複利が効く。eMAXIS Slim S&P500などは信託報酬も極めて低く、長期保有に最適。
🧘♂️心身の消耗 vs. 構造的安心
高配当株でS&P500を超えようとする挑戦は、銘柄選定、タイミング、税制、再投資判断など、複雑な意思決定が必要。感情の揺れ(暴落時の不安、増配の期待)に振り回されやすい。結果として「投資の目的」より「投資そのもの」に囚われてしまう。
一方、S&P500のほったらかし投資は、「構造に委ねる」ことで、感情の揺れを最小限に。投資判断を減らし、人生の他の重要なことに集中できる。長期的には「心の平穏」と「資産の成長」が両立する。
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