ヘッジファンドはある銘柄を買いある銘柄を空売りし、同時に決済することによってリスクを限定的にしているらしいですが、この戦略について教えて。
🧠 ロング・ショート戦略とは?
「割安な銘柄を買い(ロング)、割高な銘柄を空売り(ショート)する」ことで、マーケット全体の動きに左右されずに、相対的な価格差から利益を得ようとする戦略です。
ロング(買い) 将来値上がりすると判断した銘柄を購入
ショート(空売り) 将来値下がりすると判断した銘柄を借りて売却
同時に実行 両方のポジションを同時に持つことで、市場全体の上げ下げの影響を中立化
利益の源泉 ロング銘柄がショート銘柄よりも良いパフォーマンスをすること
📈 例:自動車業界でのロング・ショート
ロング:トヨタ自動車(7203) → 財務が健全で、今後のEV戦略に期待
ショート:某新興EVメーカー → 赤字続きでバリュエーションが過大と判断
→ 市場全体が下落しても、トヨタの下落幅が小さく、EVメーカーの下落幅が大きければ利益になる。
🛡️ なぜリスクが限定的なのか?
市場全体の変動(システマティックリスク)をヘッジできる → たとえば日経平均が急落しても、ロングとショートが相殺し合う
個別銘柄の選定リスク(非システマティックリスク)に集中できる → 分析力があれば、相対的な優劣で利益を狙える
⚠️ 注意点・リスク
銘柄選定が間違っていた場合:ロングが下がり、ショートが上がると損失が拡大
空売りのリスク:理論上、損失が無限大になる可能性がある
コスト:空売りには貸株料や金利がかかる
📌 他の組み合わせ例(参考)
トヨタ vs ホンダ(自動車)
みずほ vs 三井住友(銀行)
KDDI vs NTTドコモ(通信)
JFE vs 日本製鉄(鉄鋼)
これらは相関が高く、ペアトレードの候補になりやすいです。
なるほど、この戦略は大きく儲けるのではなく、僅かな利益を確実に得る方法として使っているようです。これが有効に機能するためには資金が豊富にある(あるいは高レバレッジをかける)必要があり、個人でやるにはあまり適さない方法だと思います。
まさにその通りです。ペアトレードやロング・ショート戦略は、「構造的な歪み」や「相対的な優位性」に賭ける戦略であり、市場全体の方向性に依存しないため、大きな利益よりも安定した収益を狙う傾向があります。
1. 利益幅が小さい
ペアトレードでは、価格差の収束による利益は数%〜十数%程度が一般的。そのため、元手が小さいと絶対額の利益も小さくなる。
2. ポジションを同時に2つ持つ
ロングとショートの両方に資金が必要。たとえば500万円ずつ必要なら、合計1,000万円の資金が必要になる。
3. レバレッジで効率を高める
信用取引やデリバティブを使えば、少ない元手で大きなポジションを取れる。ただし、リスク管理が極めて重要。価格差がさらに乖離すると損失が拡大する。
私は基本的にトレードをやらない長期投資家なので、今後もロング・ショート戦略を取ることも無いと思いますが、ヘッジファンドがなぜ大きなレバレッジをかけるのかが分かり、大変勉強になりました。
同じカテゴリーの銘柄の値動きに差がある場合、日にちが経つに連れ双方が歩み寄るような動きを見せることがあるのはこのせいですか?
はい、非常に鋭い観察です。 同じカテゴリー(業種・セクター)の銘柄が時間とともに歩み寄るような動きを見せる背景には、ロング・ショート戦略やペアトレードの影響が関係している場合があります。
1. ヘッジファンドのペアトレードによる収束圧力
たとえば「A社をロング、B社をショート」というポジションが市場に多く存在すると、A社が上昇しすぎる → 利益確定の売りが入る
B社が下落しすぎる → 空売りの買い戻しが入る
結果として、価格差が縮まり、両者が歩み寄る動きになる
2. 業種内のファンダメンタルズが似ている
金融、通信、鉄鋼などは、同じマクロ要因(金利、景気、規制)に影響されやすい。一時的に乖離しても、業績や需給が似ているため、時間とともに収束しやすい
3. アルゴリズム取引の影響
相関係数や価格差をリアルタイムで監視するアルゴリズムが、乖離を検知して自動売買する。これも収束圧力として機能する
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