2025年11月1日土曜日

ファンドマネージャーが「今こそ買い時」と判断していても暴落時は安値で売らなければならない

 顧客から資金を預かってそれを運営しているファンドマネージャーは、株価が暴落して顧客が一斉に現金化しようと殺到した時に、今こそ絶好の買い時だと自分が思っていても、株を売って現金化しなければならないのですか?

オープンエンド型ファンド(例:投資信託)では、顧客がいつでも解約(換金)できる仕組みになっているため、ファンドマネージャーはその資金を用意する必要があります。

株価が暴落すると、心理的な不安から多くの顧客が一斉に解約を申し出ることがあり、ファンドは流動性確保のために保有株を売却するしかなくなります。

たとえファンドマネージャーが「今こそ買い時」と判断していても、顧客の資金引き出し要求は優先されるため、売却せざるを得ないのです。

暴落時に売却が集中すると、さらに価格が下がるという悪循環が起こり、ファンドのパフォーマンスも悪化します。

一方、クローズドエンド型ファンドやヘッジファンドなどでは、資金の引き出しに制限があるため、マネージャーが市場のタイミングに合わせて柔軟に運用できる場合もあります。


オープンエンド型ファンドマネージャーが、売りたくなくても売らなければならない状態になり「この世の終わりだ」と叫んでいても、バフェットが暴落時にも株を売ること無く、大量に買い進めることが出来るのは自社のお金だからなんですね。

オープンエンド型ファンドの「構造的弱点」

暴落時には多くの顧客が恐怖で一斉に解約を求めるため、売りたくなくても売らざるを得ない。これは「流動性リスク」と呼ばれ、ファンドの構造に内在する宿命です。結果として、安く売って高く買い戻すという、逆の行動を強いられることもあります。

バフェット(バークシャー・ハサウェイ)の「構造的優位」

バフェットが運用するのは、自社の資本(≒永久資本)です。顧客が「今すぐ返して」と言ってくることはありません。売らなくていいどころか、むしろ買い増せる。さらに、バークシャーは保険事業から得られる「フロート(float)」という無利子の運用資金を持っており、これが暴落時の火力になります。つまり、構造的に「売らされる側」ではなく「買える側」にいるのです。

だからこそ、個人投資家が「自分の資金を自分で運用する」ことの意味は大きい。 売らされる構造に巻き込まれず、自分の意志で「買い手」になれる自由があるのです。


なるほど、良く分かりました。われわれ個人投資家はバフェット(バークシャー)の投資方法を見習うべきであり、ウォール街がパニックになっていても彼らの意見に耳を貸すべきではないと思いました。

ウォール街のパニックは、しばしば流動性の制約と感情の連鎖反応によって引き起こされます。彼らの多くは他人の資金を預かって運用しているため、売らざるを得ない構造に縛られています。つまり、彼らの「売り」は必ずしも合理的な判断ではなく、構造的な義務なのです。

一方で、バフェットのような投資家は、自社資本という「売らされない自由」を持っている。だからこそ、暴落時に冷静に買い向かうことができる。


日本の年金基金GPIFも素晴らしい投資成績を上げていますが、GPIFは感情を完全に廃するシステムを構築していて、暴落でもパニックにならず規律正しい運用をしているからだと思います。


まさにその通りです。 GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)は、感情に左右されない構造的な運用体制を確立しており、それが暴落時でも冷静かつ規律正しく運用できる理由です。

🧠 GPIFの「感情を排した構造的運用」の特徴

以下はGPIFが公式に掲げる投資原則の一部です:

長期的視点の徹底:

年金財政の安定を目的とし、短期的な市場変動に左右されず、長期的な収益確保を目指す。分散投資の原則:資産・地域・時間の分散により、リスクを構造的に抑制。

基本ポートフォリオの策定と遵守:

国内外の債券・株式を均等に配分し、乖離許容幅を設定してリバランスを自動化。パッシブ運用中心+アクティブ運用の補完:市場平均を安定的に捉えつつ、収益機会も追求。ESG・インパクト投資の推進:非財務的要素も考慮し、持続可能な成長を重視。

これらはすべて、人間の感情や市場のノイズを排除するための構造的工夫です。

解約リスクがないため、売らされる構造にない。リバランスや資産配分の調整も、定量的なルールに基づいて自動的に行われるため、感情的な判断が入り込む余地がない。


暴落時にウォール街が一斉に売りに走っている時に、今まで私は「彼らはプロだから一般人が知らない情報を持っていて、これからもっと酷い事になると分かっているから売っているのだ」と、ずっと思っていました。色々調べてみると、どうやらそうでは無いようですね。

その気づきは非常に本質的です。 多くの個人投資家が「プロが売っている=何か重大な情報を掴んでいるに違いない」と思いがちですが、実際には構造的な理由で売らざるを得ないケースが非常に多いのです。

🧩 ウォール街が「売る」本当の理由:情報ではなく構造

解約リスクへの対応

多くのファンドはオープンエンド型で、顧客が解約を申し出れば即座に現金化しなければなりません。暴落時は顧客の不安がピークに達し、大量の解約が発生します。結果として、ファンドは売りたくなくても売らざるを得ない。

リスク管理ルールの発動

多くの機関投資家はVAR(バリュー・アット・リスク)やリスク予算に基づいて運用しており、暴落時には強制的なポジション縮小が求められます。これは「感情」ではなく、ルールベースの自動反応です。

レバレッジの巻き戻し

ヘッジファンドなどはレバレッジをかけて運用しているため、価格が下がると証拠金の追加要求(マージンコール)が発生し、強制売却に追い込まれます。

パフォーマンス評価のプレッシャー

四半期ごとの成績で評価されるため、短期的な損失を避けるために売るという行動も多く見られます。

🧠 「プロ=合理的」とは限らない

プロの行動は、情報優位性ではなく、構造的制約と制度的圧力によって決まることが多い。つまり、彼らの売りは「知っているから」ではなく、「売らされているから」というケースが非常に多いのです。


今回は非常に勉強になりました。どうもありがとう。個人投資家は無数にいますが、この事を知っている人は、おそらく1000人に1人もいないと思います。

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