2025年10月29日水曜日

TOPIXの成績さえ上回れない酷いファンドが大多数なのはなぜか?

 「自分のキャリアで生み出した累積超過収益がマイナスのまま引退するファンドマネージャーはけっこう多い」と言うツイートを見ました。ここで言われている累積超過収益とはなんですか?

「累積超過収益」とは、ファンドマネージャーが自らの運用によって市場平均(ベンチマーク)をどれだけ上回ったか、あるいは下回ったかを累積的に測った指標です。もう少し噛み砕いて説明すると:

📊「累積超過収益」とは?

•  超過収益(Excess Return):

ファンドの収益率から、比較対象となるベンチマーク(例:TOPIX、S&P500など)の収益率を差し引いたもの。

例:ファンドが年10%のリターンで、ベンチマークが8%なら、超過収益は +2%。

•  累積超過収益(Cumulative Excess Return):

その超過収益を、ファンドマネージャーのキャリア期間全体にわたって合算したもの。つまり「何年間も市場平均を上回り続けたか、それとも下回り続けたか」の総合成績。

「累積超過収益がマイナスのまま引退する」というのは、

そのファンドマネージャーがキャリアを通じて市場平均を一度も安定的に上回れなかった、ということ。

•  一時的に勝った年があっても、トータルでは負けている。

•  投資家にとっては「市場平均に連動するインデックスファンドに投資していた方が良かった」という結果になる。

ファンドマネージャーの運用スキルを分析する研究や社内評価では、手数料を除いた「グロス超過収益」で比較することもあります。→ 手数料は運用会社のビジネスモデルに依存するため、純粋な運用判断を見たい場合は除外されます。

TOPIX(年平均リターン約8%)を基準にする投資信託が、手数料2%を引かずに「TOPIXに勝った」と評価されているとしたら、それは正しい比較とは言えないですね。このファンドの実質リターンは6%ですから。

実際に投資家が受け取れるのは「手数料を引いた後のリターン」なので、もし高コストのファンドがTOPIXと同じかそれ以下の成果なら、そのファンドには投資するべきでないのは明らかです。

信託報酬が0.1%程度のTOPIXや日経平均の投資信託、更には同じような手数料でリターンが10%を超えるS&P500やNASDAQ100のような米国インデックスを選ぶ方がずっと資産が増えると思います。

手数料を引かずにベンチマークと比較するのは、実質的な投資成果を無視した「見かけの勝敗」にすぎません。

•  例えば、グロスでTOPIXに+1%勝っていても、信託報酬が2%ならネットでは-1%。

•  それを「勝った」と言うのは、投資家にとっては欺瞞的です。

•  信託報酬2%の壁は、年平均8%のベンチマークに対しては非常に重い。

•  これは、ファンドが毎年10%以上のリターンを安定的に出さない限り、構造的に負ける設計です。

ファンドマネージャーの「働く意味」が問われる理由

•  市場平均を超えるためには、構造優位性・情報優位性・運用技術のいずれかが必要ですが、それらが持続的に機能するケースは稀。

•  多くのファンドマネージャーは、市場のノイズに反応するだけの短期的判断に終始し、再現性のある戦略を持たない。

•  結果として、「累積超過収益がマイナスのまま引退する」現象が起きるわけです。

ファンドマネージャーの方々は企業を調べたり社長に会ったり、相場に振り回されながら売買を繰り返すなど大変な努力をしていると思います。でも手数料が高いと結果的に手数料10分の1のインデックス投資信託に勝つのが難しい。

日本で安心しておすすめできる投資信託は、実はごくわずかです。多くのファンドは手数料が高くリターンも低く、オススメできないものが非常に多いのが現状です。

初心者の方が銀行や証券会社に相談して、よく分からないまま高コストの商品を買ってしまうケースも多く、販売側が高い手数料による収益を重視しているように見えます。

結局、ごく一部のヘッジファンドを除いてS&P500にかなわないことが多いようですね。これは多くの機関投資家にも同様のことが言えるようです。やはり頭の良い人が毎日一生懸命に色々なトレードを繰り返しても、S&P500などの長期ホールド戦略に勝つのは不可能に近いほど難しいと言うことは、間違い無いようですね。そうなると極端な話、彼らは無駄な仕事を毎日一生懸命やっているという、不都合な真実に行き着いてしまいます。

総合的に考えると、低コストのS&P500インデックスを買って何十年も保有し続けるのが、あらゆる事例を考慮すると最も合理的であり、もしS&P500指数に勝てる確実な方法があるとするならば、「大暴落で安くなった時に全力でS&P500を買う!」 これしか無いと言う結論に達しました。

実際の所、こうした状況を見ると「プロの投資家」と言われる人と、「一般の投資家」の差はほとんど無いのかもしれません。

私が唯一「これは素晴らしいポートフォリオだ」と感心したのは、ビル・ゲイツ財団のポートフォリオです。すべて長期間安定した真っ直ぐ右肩上がりの高成長銘柄たちで構成されており、私のポートフォリオの考え方にとても近いものです。これこそ真のプロのファンドマネージャーの仕事だと私は思います。

0 件のコメント:

コメントを投稿